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高等学校学習指導要領が公示されました(2009.03.09)

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高等学校学習指導要領案公表(2008.12.23)、パブリックコメントが始まりました

高等学校の教科・科目について(学校教育法施行規則の一部改正案)viの記述

今回教科「農業」に属する科目として以下の30科目が開設されました。1月に発表された答申の内容と同様です。
農業と環境課題研究総合実習農業情報処理作物野菜果樹草花畜産農業経営農業機械食品製造食品化学微生物利用植物バイオテクノロジー動物バイオテクノロジー農業経済食品流通森林科学森林経営林産物利用農業土木設計農業土木施工水循環造園計画造園技術環境緑化材料測量生物活用グリーンライフ

第3章 主として専門学科において開設される各教科 
第1節 農 業 
第1款 目 標 

農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,農業の社会的な意義や役割について理解させるとともに,農業に関する諸課題を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって解決し,持続的かつ安定的な農業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。 

第2款 各 科 目 

  第1 農業と環境 
1 目 標 

農業生物の育成と環境の保全についての体験的,探究的な学習を通して,農業及び環境に関する学習について興味・関心を高めるとともに,科学的思考力と課題解決能力を育成し,農業及び環境に関する基礎的な知識と技術を習得させ,農業の各分野で活用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 暮らしと農業 
ア 食と農業 
イ 生活と農業 
ウ 環境と農業 
エ 農業の動向と課題 
(2) 農業生産の基礎 
ア 農業生物の種類と特性 
イ 農業生物の栽培・飼育 
ウ 育成環境の要素 
エ 農業生産物の利用 
オ 農業生産の計画・管理・評価 
(3) 環境の調査・保全・創造 
ア 環境の調査 
イ 環境の保全 
ウ 環境の創造 
(4) 農業学習と学校農業クラブ活動 
ア 農業学習の特質 
イ プロジェクト学習 
ウ 学校農業クラブ活動 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,地域農業の見学や地域環境の観察及び統計資料を用いた具体的な学習を通して,農業の社会的な役割と環境・暮らしとのかかわりについて理解させ,農業の各分野に関する学習に関心をもたせること。 
イ 内容の(2)については,農業生物の育成に関するプロジェクト学習を通して,農業生物の育成と栽培・飼育環境を関連付けて理解させるとともに,科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業生物を選定すること。 
ウ 内容の(3)については,地域環境などの調査や保全・創造に関する体験的な学習活動を通して,環境保全・創造の重要性などについて理解させるとともに,科学的な見方と実践力を育てること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,食料の生産と供給をはじめとした農業の多面的な役割,生態系における物質循環,地域環境や地球環境と人間生活との相互関係及び農業の動向と課題について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,農業生物の生理・生態的な特性,気象など育成環境の要素及びそれらの相互関係を扱うこと。また,農業生物の栽培や飼育から加工,利用までの基礎的な内容と農業生産の計画・管理・評価の方法の基礎的な内容を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,地域環境などの調査の方法,森林による国土・環境の保全や都市緑地における景観創造の機能などについて基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,農業生物の育成や環境の保全などの農業学習の特質,プロジェクト学習の進め方並びに学校農業クラブ活動の目標,内容,組織及び実践方法を扱うこと。 

  第2 課題研究 
1 目 標 

農業に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。 

2 内 容

(1) 調査,研究,実験 
(2) 作品製作 
(3) 産業現場等における実習 
(4) 職業資格の取得 
(5) 学校農業クラブ活動 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(5)までの中から,個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(5)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。 
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。 

  第3 総合実習 
1 目 標 

農業の各分野に関する体験的な学習を通して,総合的な知識と技術を習得させ,経営と管理についての理解を深めさせるとともに,企画力や管理能力などを身に付け,農業の各分野の改善を図る実践的な能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 農業の各分野に関する総合的な実習 
ア 専門技術総合実習 
イ 経営管理総合実習 
(2) 農業の産業現場等における総合的な実習 
ア 専門技術総合実習 
イ 経営管理総合実習 
(3) 学校農業クラブ活動 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとすること。 
ウ 内容の(3)については,地域環境などの調査や保全・創造に関する体験的な学習活動を通して,環境保全・創造の重要性などについて理解させるとともに,科学的な見方と実践力を育てること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,食料の生産と供給をはじめとした農業の多面的な役割,生態系における物質循環,地域環境や地球環境と人間生活との相互関係及び農業の動向と課題について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,農業生物の生理・生態的な特性,気象など育成環境の要素及びそれらの相互関係を扱うこと。また,農業生物の栽培や飼育から加工,利用までの基礎的な内容と農業生産の計画・管理・評価の方法の基礎的な内容を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,地域環境などの調査の方法,森林による国土・環境の保全や都市緑地における景観創造の機能などについて基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,農業生物の育成や環境の保全などの農業学習の特質,プロジェクト学習の進め方並びに学校農業クラブ活動の目標,内容,組織及び実践方法を扱うこと。 

  第4 農業情報処理 
1 目 標 

社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させ,情報に関する知識と技術を習得させるとともに,農業情報及び環境情報を主体的に活用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 産業社会と情報 
ア 情報とその活用 
イ 農林業における情報の役割 
(2) 情報モラルとセキュリティ 
ア 情報モラル 
イ 情報のセキュリティ管理 
(3) 情報技術 
ア ハードウェアとソフトウェア 
イ 情報通信ネットワーク 
ウ 情報システム 
(4) 農業情報及び環境情報の活用 
ア 生産・加工・流通・経営のシステム 
イ 農業情報の活用 
ウ 森林情報の活用 
エ 環境情報の活用 
(5) 農業学習と情報活用 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,農業分野を中心に産業社会における情報の活用の具体的な事例を通して,情報の意義を理解させるとともに,農業の各分野における情報の役割について関心をもたせること。 
イ 内容の(3)については,実習や産業現場の見学等を通して,情報及び情報機器・情報通信ネットワークやソフトウェアなどを活用する能力を育てること。なお,生徒の実態や学科の特色に応じて,内容の一部に重点を置くなどの工夫を加えること。 
ウ 内容の(4)については,実習及び産業現場での見学や体験等を通して,情報の流れや情報システムが活用されている実際の状況を理解し,実践的な情報活用ができるようにすること。 
エ 内容の(5)については,農業の各科目の学習や学校農業クラブ活動のプロジェクト学習を進める各段階において,情報及び情報技術を効果的に活用できるようにすること。また,課題の発見・解決に必要な創造的思考力や科学的判断力,コミュニケーション能力などの育成に配慮するとともに,情報機器や情報通信ネットワーク等を活用して学習の成果を整理・発信する能力や態度を育てること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)のアについては,情報化の進展に伴う産業や生活の変化について扱うこと。 
イについては,農林業に関係する情報の収集,処理及び活用の基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラル及び情報通信ネットワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,目的に応じた情報機器やソフトウェアの選択,アプリケーションソフトウェアの使用法,情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理及び発信並びに情報システムについて,一般的な内容と農業に関連する内容を扱うこと。情報システムによる問題解決の方法については,モデル化,シミュレーションなどの基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,農業技術や経営に関する情報,地理空間情報及び農業に関する情報システムなどの活用について基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,情報通信技術を活用したプロジェクト学習などを扱うこと。 

  第5 作 物 
1 目 標 

作物の生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,作物の特性や生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 作物生産の役割と動向 
ア 作物生産と食料供給 
イ 世界の食料需給の動向 
(2) 作物の特性と栽培技術 
ア 作物の種類と特徴 
イ 作物の生育と生理 
ウ 栽培環境と生育の調節 
(3) 作物の生産 
ア 作物の栽培的,経営的特性 
イ 品種の特性と選び方 
ウ 栽培計画 
エ 育苗 
オ 栽培管理 
カ 商品化 
キ 機械・施設の利用 
ク 作物生産の評価 
(4) 作物経営の改善 
ア 作業体系の改善 
イ 生産と流通の改善 
(5) 作物生産の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,安全な作物の生産から消費までの食料供給の仕組みを理解させること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,作物の種類による特性と栽培環境の相互関係から作物の生育と環境の調節について理解させ,作物生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な作物を選定すること。 
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国と世界の作物生産,食料需給の動向及びそれらの相互関係について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,いろいろな作物の特徴,作物の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した作物栽培の技術の仕組みを扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,品種の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など作物の生産と経営について体系的に扱うこと。また,残留農薬のポジティブリスト制度の概要についても触れること。 
エ 内容の(4)については,作業の順序,組合せとその管理,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など作物の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,実際に選定した作物に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。 

  第6 野 菜 
1 目 標 

野菜の生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,野菜の特性や生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 野菜生産の役割と動向 
ア 野菜の生産と利用 
イ 野菜の需給の動向 
(2) 野菜の特性と栽培技術 
ア 野菜の種類と特徴 
イ 野菜の生育と生理 
ウ 栽培環境と生育の調節 
エ 人工環境における栽培技術 
(3) 野菜の生産 
ア 野菜の栽培的,経営的特性 
イ 品種の特性と選び方 
ウ 作型と栽培計画 
エ 育苗 
オ 栽培管理 
カ 商品化 
キ 施設と土地の高度利用 
ク 野菜生産の評価 
(4) 野菜経営の改善 
ア 作業体系の改善 
イ 生産と流通の改善 
(5) 野菜生産の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,安全な野菜の生産から消費までの仕組みを理解させること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,野菜の特性と栽培環境の相互関係から野菜の生育と環境の調節及び人工環境における栽培技術について理解させ,野菜生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な野菜を選定すること。 
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,食生活の変化を踏まえた野菜生産の役割,野菜の多様な利用形態及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,野菜の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した野菜栽培の技術の仕組みを扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,野菜の作型の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など野菜の生産と経営について体系的に扱うこと。また,残留農薬のポジティブリスト制度の概要についても触れること。 
エ 内容の(4)については,作業の順序,組合せとその管理,加工と鮮度の保持,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など野菜の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,実際に選定した野菜に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。 

  第7 果 樹 
1 目 標 

果樹生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,果樹の特性や果実の生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 果実生産の役割と動向 
ア 果実の生産と利用 
イ 果実の需給の動向 
(2) 果樹の特性と栽培技術 
ア 果樹の種類と特徴 
イ 果樹の生育と生理 
ウ 栽培環境と生育の調節 
(3) 果樹の栽培と果実の生産 
ア 果樹の栽培的,経営的特性 
イ 品種の特性と選び方 
ウ 苗木の養成と開園・更新 
エ 作型と栽培計画 
オ 栽培管理 
カ 商品化 
キ 施設の利用と栽培技術 
ク 果樹生産の評価 
(4) 果樹経営の改善 
ア 作業体系の改善 
イ 生産と流通の改善 
(5) 果樹生産の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,安全な果実の生産から消費までの仕組みを理解させること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,果樹の特性と栽培環境の相互関係から果樹の生育と環境の調節について理解させ,果樹生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な果樹を選定すること。 
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,食生活の変化を踏まえた果実生産の役割,果実の多様な利用形態及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,果樹の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した果樹栽培の技術の仕組みを扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,果樹の作型の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など果実の生産と果樹経営について体系的に扱うこと。また,残留農薬のポジティブリスト制度の概要についても触れること。 
エ 内容の(4)については,品種の選定,作業の順序,組合せとその管理,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など果樹の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,実際に選定した果樹に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。 

  第8 草 花 
1 目 標 

草花の生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,草花の特性や生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 草花生産の役割と動向 
ア 草花生産の特性 
イ 生活と草花の利用 
ウ 草花の流通と需給の動向 
(2) 草花の特性と栽培技術 
ア 草花の種類と特徴 
イ 草花の生育と生理 
ウ 栽培環境と生育の調節 
エ 品種改良 
(3) 草花の生産 
ア 草花の栽培的,経営的特性 
イ 品種の特性と選び方 
ウ 作型と栽培計画 
エ 栽培管理 
オ 商品化 
カ 施設の利用 
キ 草花生産の評価 
(4) 草花経営の改善 
ア 作業体系の改善 
イ 生産と流通の改善
(5) 草花生産の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,安全な草花の生産から消費までの仕組みと多様な草花の利用の形態を理解させること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,草花の特性と栽培環境の相互関係から草花の生育と環境の調節について理解させ,草花生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態,学科の特色や消費動向に応じて,題材として適切な草花を選定すること。 
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,生活の変化に伴う草花の利用の変化を踏まえた草花生産及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,草花の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した草花栽培の技術の仕組みを扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,草花の品種の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など草花の生産と経営について体系的に扱うこと。 
エ 内容の(4)については,品種の選定,作業管理,施設利用,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など草花の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,実際に選定した草花に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。 

  第9 畜 産 
1 目 標 

家畜の飼育と畜産経営に必要な知識と技術を習得させ,家畜の特性や飼育環境を理解させるとともに,合理的な家畜管理と品質や生産性の向上を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 畜産の役割と動向 
ア 畜産の役割と特色 
イ 畜産物の需給の動向 
(2) 家畜の生理・生態と飼育環境 
ア 家畜の生理・生態 
イ 飼育環境の調節 
(3) 家畜と飼料 
ア 家畜の栄養と栄養素 
イ 消化吸収と栄養素の代謝 
ウ 飼料の特性と給与 
エ 飼料作物の栽培 
オ 草地の管理 
(4) 家畜の飼育 
ア 家畜の選択 
イ 飼育計画と管理 
ウ 繁殖と改良 
エ 施設の利用 
オ 家畜の病気と衛生
カ 飼育の評価 
(5) 家畜廃棄物の処理と利用 
ア 家畜廃棄物の処理 
イ 家畜廃棄物の価値とその利用 
(6) 畜産経営の改善 
ア 作業体系の改善 
イ 生産と流通の改善 
(7) 畜産の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,地域環境と安全に配慮した畜産物の生産から消費までの食料供給の仕組みを理解させること。 
イ 内容の(2)から(4)までについては,観察や実習を通して,家畜の特性と飼育環境の相互関係から飼育環境の調節と制御について理解させ,家畜飼育に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な家畜を選定すること。 
ウ 内容の(3)のエ及びオについては,地域農業の実態や飼料の需給の動向に応じて,題材として適切な飼料作物を選定すること。 
エ 内容の(7)については,内容の(1)から(6)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,国際的な畜産物の生産,利用及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,家畜の生理・生態と行動的な特性,環境要因が家畜に与える影響及び飼育環境の調節を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,栄養素の家畜体内における代謝,粗飼料や濃厚飼料の給与,飼料の安全性などを扱うこと。 
エ 内容の(4)については,品種の選定をはじめとする飼育計画や目標,飼料給与など飼育管理や繁殖管理の成績などの総合的な判断に基づく飼育評価など家畜の飼育と経営について体系的に扱うこと。ウについては,バイオテクノロジーを利用した改良の基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,家畜廃棄物の適切な処理法や多様化する利用法について扱うこと。 
カ 内容の(6)については,飼育形態,作業管理,生産費と流通の手段や経費など家畜生産の経営改善について基礎的な内容を扱うこと。また,安全な食品を供給するための食品トレーサビリティーシステムなどについても扱うこと。 
キ 内容の(7)については,実際に選定した家畜に関する一連の飼育及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。 

  第10 農業経営 
1 目 標 

農業経営の設計と管理に必要な知識と技術を習得させ,コスト管理とマーケティングの必要性を理解させるとともに,経営管理の改善を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 農業の動向と農業経営 
ア 我が国と世界の農業 
イ 地域農業の動向 
ウ 農業経営と社会経済環境 
(2) 農業経営の管理 
ア 農業経営の主体と目標 
イ 農業生産の要素 
ウ 経営組織の組立て 
エ 経営と協同組織 
オ 農業経営の管理 
(3) 農業経営の情報 
ア 農業経営情報の収集と活用 
イ 農業経営とマーケティング 
ウ 農業政策と関係法規 
(4) 農業経営の会計 
ア 取引・勘定・仕訳 
イ 仕訳帳と元帳 
ウ 試算表と決算 
エ 農産物の原価計算 
(5) 農業経営の診断と設計 
ア 農業経営の診断 
イ 農業経営の設計 
(6) 農業経営の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)から(5)までについては,学校農場や地域の農業経営の身近な事例を通して,具体的に理解させること。 
イ 内容の(3)については,演習や実習を通して,経営情報の活用技術を具体的に理解させること。 
ウ 内容の(4)については,演習や実習を通して,簿記の記帳方法について理解させ,経営の改善を図る合理的な見方と実践力を育てること。 
エ 内容の(6)については,生徒の実態や学科の特色に応じて選択して扱うことができること。その際,内容の(1)から(5)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,国際的な市場拡大の中での我が国と世界の農業の動向とその相互関係,農業経営のあらましと経営者として兼ね備えるべき要件について基礎的な内容を扱うこと。また,産地形成など地域農業の動向と農業経営及びその相互関係について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,農業経営の運営と管理の仕方について具体的な事例を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,農業経営をめぐる社会環境の変化を踏まえ,農業マーケティング及び農業政策とそれに関連する法規の概要を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,農業会計の原理,農業簿記の仕組み,複式簿記による取引から決算までの処理方法及び原価計算の意義と方法を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,農業経営の診断の指標とマネジメントサイクルを含めた診断方法及び農業経営の設計に必要な条件と方法を扱うこと。 
カ 内容の(6)については,生産や飼育に関する活動と連動した経営の改善に取り組む活動を行うこと。また,起業的な活動についても扱うことができること。 

  第11 農業機械 
1 目 標

農業機械の取扱いと維持管理に必要な知識と技術を習得させ,機械の構造と作業上の特性を理解させるとともに,農業機械の効率的な利用を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 農業機械の役割 
ア 農業機械化の意義 
イ 農業機械の利用とその現状 
(2) 農業機械の操作 
ア トラクタとその操作 
イ 作業機とその操作 
ウ 農業機械と安全作業 
(3) 農業機械の構造と整備 
ア 原動機の原理・構造と整備 
イ トラクタの構造と整備 
ウ 作業機の構造と整備 
エ 燃料と潤滑油の特質 
(4) 農業生産と農業機械の利用 
ア 農業機械の効率的利用 
イ 経営形態と機械の導入・利用 
ウ 農業機械化体系の作成 
(5) 農業機械による自動化 
ア 環境制御機器 
イ 作業工程の自動化 
ウ 農業用ロボット 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)及び(3)については,実験・実習を通して,機械の構造と作業特性の相互関係から機械の点検方法について理解させ,機械の維持管理を図る実践力を育てること。また, 機械の原理や構造などの理解を深めさせるため,教育用機器を活用すること。 
イ 内容の(2)から(4)までについては,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業機械を選定すること。また,機械及び燃料の安全な取扱いについて指導し,事故の防止に努めること。 
ウ 内容の(5)については,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業機械や農業用ロボットを選定し,活用の意義について理解させること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国における農業機械の利用の現状及び農業の生産性の向上と農業機械化との相互関係を扱うこと。 
イ 内容の(3)については,原動機とトラクタの各種装置の作動原理と作業機の作業原理にかかわる基礎的な内容を扱うこと。 
ウ 内容の(4)については,学校農場や地域農業の身近な事例を取り上げて,機械の作業能率や利用経費など農業機械の効率的な利用と経営形態や目的に応じた機械の導入・利用を考慮した農業機械化体系の作成を扱うこと。 
エ 内容の(5)については,技術の進展に対応した題材を取り上げ,基礎的な内容を扱うこと。 

  第12 食品製造 
1 目 標 

食品製造に必要な知識と技術を習得させ,食品の特性と加工方法及び貯蔵の原理を理解させるとともに,品質と生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内 容 

(1) 食品製造の意義と動向 
ア 食品製造の意義 
イ 食品産業の現状と動向 
(2) 食品加工の原理と方法 
ア 物理的な方法による加工 
イ 化学的な方法による加工 
ウ 生物的な作用による加工 
(3) 食品の特性と加工 
ア 原材料の処理 
イ 穀類,大豆,イモ類の加工 
ウ 野菜,果実の加工 
エ 畜産物の加工 
オ 発酵食品の製造 
(4) 食品加工と衛生管理 
ア 食品による危害と安全の確保 
イ 食品製造における衛生 
ウ 環境汚染の防止 
(5) 食品の変質と貯蔵 
ア 食品の変質の要因 
イ 食品の貯蔵法 
ウ 食品の包装と品質表示 
(6) 機械と装置の利用 
ア 製造用の機械と装置の利用 
イ ボイラと冷却装置の利用 
(7) 生産管理の改善 
ア 品質管理 
イ 作業体系の改善 
(8) 食品製造の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,農業生産,食品製造から食料消費までの安全な食料供給の仕組みを理解させること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,実験・実習を通して,食品の特性と加工原理を理解させ,食品加工の工夫を図る実践力を育てること。 
ウ 実験・実習の指導に当たっては,食品や製造用機械・器具の安全な取扱いについて指導するとともに,食品衛生上の危害の発生の防止に努めること。 
エ 内容の(3)のアからオまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。 
オ 内容の(7)については,食品企業における従業員の教育や管理の手法について具体的な事例を取り上げ,安全な食品の提供と生産性を向上するための取組の重要性を理解させること。 
カ 内容の(8)については,内容の(1)から(7)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国の食生活における食品産業の役割及び食品製造に関する技術の進歩を中心に扱うこと。 
イ 内容の(2)については,原材料の特性を利用した加熱,塩漬や発酵などの食品加工の方法とその基本的な原理を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,主な食品の製造工程における操作及び検査を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,食品による危害の要因や食品の安全に関する法規の概要について扱うとともに,食品を衛生的に製造するための危害分析重要管理点手法や食品安全マネジメントシステムなどについて扱うこと。また,環境汚染を防止するために必要な排水や廃棄物の処理の方法などについても扱うこと。 
オ 内容の(5)については,温度,酸素や微生物による食品の変質とそれに伴う価値の変化及びその防止のための代表的な貯蔵法を扱うこと。また,包装と表示及び製造用機械・器具の使用方法について扱うこと。 
カ 内容の(6)については,内容の(3)及び(5)で扱う食品製造用の機械や装置の操作と整備を扱うこと。 
キ 内容の(7)については,品質管理を図るための工程と生産環境の管理,衛生検査及び作業体系の基礎的な内容を扱うこと。 
ク 内容の(8)については,実際に選定した食品の加工に関する活動や商品を開発する活動を食品企業の経営と関連付けて行うこと。 

  第13 食品化学 
1 目 標 

食品の成分分析と検査に必要な知識と技術を習得させ,食品の成分と栄養的価値を理解させるとともに,食品製造及び農業の各分野で応用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 食品化学の役割 
ア 食品化学の領域 
イ 食品化学と食品製造 
(2) 食品の成分 
ア 食品成分の分類と機能 
イ 食品成分の変化 
(3) 食品の栄養 
ア 食品成分の代謝と栄養 
イ 食品の栄養的価値の評価 
(4) 食品の成分分析 
ア 食品分析の基本操作 
イ 食品成分の定量分析 
ウ 食品成分の物理・化学分析 
(5) 食品の衛生検査 
ア 食品衛生検査の意義 
イ 異物の検査 
ウ 細菌の検査 
エ 水質の検査 
オ 食品添加物の検査 
カ 農薬と食品 
(6) 食品分析の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)から(5)までについては,地域の食生活の現状や学科の特色に応じて,題材として適切な食品と原材料を選定すること。 
イ 内容の(4)及び(5)については,実験・実習を通して,成分分析や衛生検査の意義と原理について理解させ,食品製造に応用する実践力を育てること。
ウ 内容の(5)のカについては,残留農薬のポジティブリスト制度などにも触れ,食品の安全に応用する実践力を育てること。 
エ 内容の(6)については,内容の(1)から(5)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,食品の成分分析や衛生検査が,食品製造や食生活の改善に果たしている役割を中心に扱うこと。 
イ 内容の(2)については,食品中のタンパク質,ビタミンなどの性質,加工や貯蔵時における変化を中心に扱うこと。 
ウ 内容の(2)から(5)までについては,化学式,構造式及び化学反応式を扱う場合は基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(3)については,食品成分の体内での変化と働きを中心に扱い,機能性食品などについても触れること。 
オ 内容の(4)については,食品成分の分析方法とその原理及び分析機器の操作を扱うこと。 
カ 内容の(5)のアからオについては,食品の安全性確保のために必要な衛生検査の概要及び各種検査の原理と方法を扱うこと。カについては残留農薬の問題など具体的な事例を扱うこと。 
キ 内容の(6)については,実際に選定した食品の成分分析や衛生検査を行うこと。 

  第14 微生物利用 
1 目 標 

食品に関連する微生物の利用と培養に必要な知識と技術を習得させ,微生物の特性を理解させるとともに,農業の各分野で微生物を利用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 微生物利用の意義と分野 
ア 微生物利用の意義 
イ 食品と微生物利用 
(2) 微生物の種類と特徴 
ア 微生物の種類と増殖 
イ 微生物の生育環境 
ウ 微生物の遺伝 
(3) 微生物の代謝とその利用 
ア 酵素の一般的性質 
イ 酵素の分類と種類 
ウ 酵素の利用 
エ 微生物の代謝 
オ アルコール発酵 
カ 有機酸発酵 
キ アミノ酸発酵 
(4) 微生物の分離と培養 
ア 微生物実験の基本操作 
イ 細菌の分離と培養 
ウ 酵母の分離と培養 
エ かびの分離と培養 
オ きのこの培養 
(5) 微生物利用の発展 
ア 新たな微生物利用 
イ 微生物の改良
ウ 微生物によるエネルギー生産 
エ 固定化生体触媒の利用 
オ 微生物による環境保全 
(6) 微生物利用の実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,各種の事例を通して,微生物利用の意義を具体的に理解させること。 
イ 内容の(2)については,観察・実験を通して,微生物の形態的特徴と生理的特性を具体的に理解させること。 
ウ 内容の(2)から(5)までについては,微生物の特性を理解させ,微生物の活動を制御し, 利用する実践力を育てること。また,地域の食品産業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な菌種を選定すること。なお,遺伝子組換えや有害微生物を扱う際には,適切な拡散防止の措置を講じるなど安全に十分留意して指導すること。 
エ 内容の(3)のオからキまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。 
オ 内容の(4)については,実験・実習を通して,微生物の特徴を理解させること。 
カ 内容の(5)については,遺伝子操作に関する技術の進展やそれに伴う倫理的な問題についても触れること。 
キ 内容の(6)については,内容の(1)から(5)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,微生物利用の状況,微生物の役割及び食品と微生物の関係について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)のウについては,微生物の遺伝の仕組み及び突然変異について基礎的な内容を扱うこと。 
ウ 内容の(2)から(6)までについては,微生物の学名や英名及び化学式や構造式を扱う場合は基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,微生物の純粋分離と純粋培養の基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,遺伝子組換えの基礎的な内容を扱うこと。また,エネルギー生産については,再資源化や環境浄化とも関連付けて発酵機構と代謝産物及び生体触媒の固定化などの基礎的な内容を扱うこと。 
カ 内容の(6)については,実際に選定した微生物の培養や発酵食品の製造,微生物を応用した技術に関する活動を行うこと。 

  第15 植物バイオテクノロジー 
1 目 標 

植物に関するバイオテクノロジーの知識と技術を習得させ,植物体の特性とバイオテクノロジーの特質を理解させるとともに,農業の各分野で活用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) バイオテクノロジーの意義と役割 
ア バイオテクノロジーの意義 
イ 産業社会とバイオテクノロジー 
(2) 植物バイオテクノロジーの特質と基本操作 
ア 植物の構造と機能 
イ 無菌操作の基本 
(3) 植物の増殖能力の利用 
ア 組織培養の目的と技術体系
イ 培地の組成と調整 
ウ 培養植物体の生育と環境 
エ 野菜や草花への活用 
オ 果樹や作物などへの活用 
カ バイオテクノロジーの活用実態 
(4) 植物の遺伝情報の利用 
ア 遺伝子組換えの仕組み 
イ 細胞融合の仕組み 
(5) バイオマス・エネルギーの利用 
ア 栽培植物の利用 
イ 有機廃棄物の利用 
(6) 植物バイオテクノロジーの展望 
(7) 植物バイオテクノロジーの実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,植物の分化全能性とその利用について理解させ,組織培養技術を活用する実践力を育てること。 
イ 内容の(2)から(4)までについては,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な植物を選定すること。また,遺伝子組換えを扱う際には,適切な拡散防止の措置を講じるなど安全に十分留意して指導し,雑菌による機器や施設などの汚染防止を図ること。 
ウ 内容の(7)については,内容の(1)から(6)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと 。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,植物の繁殖などの機能を利用するバイオテクノロジーの技術体系及び農業などの産業各分野における利用の概要を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,茎頂など植物の組織・器官の構造と機能・植物ホルモンの作用及び無菌的条件の設定も扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,植物細胞の分化全能性,培地の調整,組織培養及び培養植物体の順化,育成を中心に扱うこと。カについては,地域の野菜や草花など身近な植物や絶滅危惧植物などの具体的な事項を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,遺伝子の構造及び植物のもつ遺伝情報の伝達機能について基礎的な内容を扱い,遺伝子組換えに関連する法規の概要についても扱うこと。 
オ 内容の(5)については,バイオテクノロジーを活用して,セルロースなどの植物成分やもみがらなどの有機廃棄物を変換利用する技術を扱うこと。 
カ 内容の(6)については,遺伝子組換え植物の利用などバイオテクノロジーに関する今後の動向,課題及び可能性について基礎的な内容を扱うこと。 
キ 内容の(7)については,植物バイオテクノロジーの技術を活用した活動や絶滅危惧植物などを対象とした活動を行うこと。 

  第16 動物バイオテクノロジー 
1 目 標 

動物バイオテクノロジーや実験動物の飼育・管理に関する知識と技術を習得させ,動物の生理特性とバイオテクノロジーの特質を理解させるとともに,農業の各分野で応用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) バイオテクノロジーの意義と役割 
ア バイオテクノロジーの意義 
イ 産業社会とバイオテクノロジー
ウ 動物実験の意義 
(2) 実験動物 
ア 動物の体の構造 
イ 飼育と管理 
ウ 動物実験の基本 
(3) 動物バイオテクノロジーの基礎 
ア 生殖細胞と人工授精 
イ 受精卵の操作 
ウ 雌雄の判別 
エ 核移植とクローニング 
(4) 動物バイオテクノロジーの展望 
(5) 動物バイオテクノロジーの実践 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)及び(3)については,実験・実習を通して,動物の組織や機能を理解させ,バイオテクノロジーの応用を図る実践力を育てること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な動物を選定すること。 
ウ 内容の(3)については,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。また,遺伝子組換えを扱う際には,適切な拡散防止の措置を講じるなど安全に十分留意して指導し,雑菌による機器や施設などの汚染防止を図ること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,動物の繁殖機能を利用するバイオテクノロジーの技術体系及び農業などの産業各分野における利用の概要を扱うこと。 
イ 内容の(1)のウ及び(2)については,生命尊重の視点から実験で使用する動物について倫理面にも配慮して扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,受精卵移植や雌雄の判別など動物のバイオテクノロジーの基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,人工多能性幹細胞など動物のバイオテクノロジーに関する今後の動向,課題及び可能性について基礎的な内容を扱い,遺伝子組換えに関連する法規の概要についても扱うこと。 
オ 内容の(5)については,動物バイオテクノロジーの技術を活用した活動や応用的な技術を活用した活動を行うこと。 

  第17 農業経済 
1 目 標 

農業及び食品産業の経済活動に関する知識と技術を習得させ,流通及び市場の原理を理解させるとともに,流通の改善を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 我が国の農業と世界の食料需給 
ア 農業と国民経済 
イ 世界の食料需給 
ウ 農業と国際経済事情 
(2) 食料供給と農業及び食品産業 
ア 農業生産の役割と特徴 
イ 食品産業の役割と特徴 
(3) 農産物の需給と価格形成 
ア 農産物の需要と供給
イ 市場の原理と価格の形成 
(4) 農産物の流通と経済 
ア 流通の構造と機能 
イ 農産物・加工食品と農業生産資材の流通 
ウ 金融と保険 
(5) 農業生産の組織と食品産業 
ア 農業協同組合 
イ 農業生産組織と農業生産法人 
ウ 食品企業 
(6) 農業と情報 
ア 農業情報システム 
イ 情報の管理と活用 
(7) 農業・食料政策と関係法規 
ア 農業・食料政策 
イ 農業経済と関係法規 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)から(5)までについては,地域の具体的な事例を通して,農業及び食品産業の経済活動について理解させること。 
イ 内容の(5)から(7)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,農業と食品産業が我が国の経済活動において果たしている役割,国際的な食料需給の動向が我が国の農業と食品産業に与える影響などについて基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,食料消費の形態と動向並びに食料供給における農業,食品製造業,食品流通業及び外食産業の役割と動向について基礎的な内容を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,価格形成の原理として需要と供給の変動の要因及び市場の役割を具体的に扱うこと。 
エ 内容の(4)については,主な農産物・加工食品と農業生産資材の流通構造及び流通に必要な金融と保険について基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(5)については,販売事業や信用事業など農業協同組合の事業,共同出荷など生産組合の事業,集落営農などの農業生産組織や農業生産法人,食品企業の運営及び経営について基礎的な内容を扱うこと。 
カ 内容の(7)については,農業政策及び食料政策とその関係法規の概要を扱うこと。 

  第18 食品流通 
1 目 標 

農産物や農産物を原料とする食品の流通に必要な知識と技術を習得させ,食品の特性と流通構造を理解させるとともに,食品の流通と管理の合理化を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 食品流通と食品産業 
ア 食品産業と国民経済 
イ 食品流通とフードシステム 
(2) 食品流通の構造と機能 
ア 食品流通の社会的機能 
イ 食品流通の構造 
ウ 流通経費と価格形成
(3) 主な食品の流通 
ア 米と麦類の流通 
イ 青果物の流通 
ウ 畜産物の流通 
エ 加工食品の流通 
オ 農産物の輸出入 
(4) 食品の品質と規格 
ア 食品の機能と安全性 
イ 品質と品質保証 
ウ 規格・表示・検査 
エ 食品流通と包装 
オ 食品の変質 
(5) 食品の輸送と保管 
ア 食品の輸送 
イ 食品の保管 
ウ 物流のシステム化 
エ 物流と情報管理 
(6) マーケティング 
ア 食品市場の調査 
イ 販売計画と仕入計画 
ウ 流通と販売 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,食品流通の具体的な事例を通して,安全な食品の流通の仕組みについて理解させること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,調査や実習を通して,食品の特性と流通構造を理解させ,流通の改善を図る実践力を育てること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,国民の食生活の動向及び食品産業や食品流通の役割を中心に扱うこと。 
イ 内容の(3)については,我が国の主な食品の特性及び流通の手段,経路と機能を扱うこと。なお,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な食品を選定すること。 
ウ 内容の(4)については,食品の栄養や安全性などの品質の保持と保証及びそのための検査と包装を扱うこと。なお,食品の規格や表示については,農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律に基づく食品表示と規格など基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(5)については,食品の品質の維持や環境とのかかわり,食品トレーサビリティーシステムについても扱うこと。 
オ 内容の(6)については,食品の販売や店舗の経営に必要なマーケティングの原理,食品市場の調査と情報分析,消費動向,品揃えと数量などの仕入計画及び商品陳列,広告,販売方法などの販売計画について基礎的な内容を扱うこと。 

  第19 森林科学 
1 目 標 

森林の育成,保全と木材の生産に必要な知識と技術を習得させ,森林の役割や生態について理解させるとともに,森林の保全を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 森林の役割 
ア 森林の多面的機能
イ 森林管理の意義 
(2) 森林の生態 
ア 森林の生態と分布 
イ 林木の生育と環境 
(3) 森林の育成 
ア 育苗と造林 
イ 森林の保育と保護 
(4) 山地の保全 
ア 治山治水 
イ 林道と作業道 
(5) 木材の生産 
ア 林木の伐採 
イ 造材と集材 
ウ 木材の運搬 
(6) 人間社会と森林 
ア 森林利用の変遷 
イ 流域社会と人の暮らし 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,学校林や地域の森林における実習を通して,森林の役割及び生態について具体的に理解をさせること。 
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,林木の生育特性と環境要因を理解させ,計画的な森林造成を図る実践力を育てること。 
ウ 内容の(2)のイについては,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な林木を選定すること。 
エ 内容の(4)のイについては,山地の保全にとって作業道の果たす役割を理解させること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,我が国の森林を中心に扱うこととし,水資源の涵養や生物多様性の保全をはじめとする多面的な森林の公益的機能を維持するための森林管理の意義を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,森林生態系での物質循環と遷移及び森林植生の分布と気候の関係について基礎的な内容を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,実生苗や挿し木苗の養成及び造林の基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,治山治水,林道,作業道の意義や役割などについて基礎的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(6)については,森林利用の歴史,流域社会と人間,森林観形成の過程における思想の変遷などを扱うこと。 

  第20 森林経営 
1 目 標 

森林経営における測定,計画と管理に必要な知識と技術を習得させ,森林の機能と評価の意義を理解させるとともに,森林を持続的に経営する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 森林と森林経営 
ア 我が国と世界の森林 
イ 森林経営の意義と役割 
(2) 森林の機能 
ア 林産物生産機能
イ 環境保全機能 
ウ 保健休養機能 
(3) 森林の測定と評価 
ア 森林の測定 
イ リモートセンシングの利用 
ウ 森林の機能の評価 
(4) 森林経営の計画と管理 
ア 森林経営の目標と組織 
イ 森林施業 
ウ 森林の利用 
エ 森林経営情報の活用 
(5) 木材の流通 
ア 国民経済と木材商業 
イ 木材の流通と市場 
ウ 木材貿易 
(6) 森林経営と森林政策 
ア 我が国の森林政策 
イ 林業金融と森林保険 
ウ 森林関係法規 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)及び(3)については,学校林や地域の森林における実習を通して,森林の機能とその測定を理解させること。 
イ 内容の(3)及び(4)については,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な森林を選定すること。また,指導に当たっては,各種メディア教材や地球観測衛星などの情報を適切に活用すること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)のアについては,我が国と世界の森林資源,木材の需給の動向及びそれらの相互関係について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,木材等の林産物の生産や供給,国土の保全や水資源の涵養,保健休養や教育的利用の場の提供など森林がもつ機能について基礎的な内容を扱うこと。 
ウ 内容の(3)のウについては,森林の測定と評価の方法について基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,我が国の森林の持続的経営に関して,植林・間伐・伐採・再造林などの具体的な内容を扱うこと。 
オ 内容の(6)のアについては,森林計画制度など我が国の森林政策の概要を扱うこと。イについては森林の機能を持続させるための金融と保険制度を扱うこと。ウについては森林経営に関する法規の概要を扱うこと。 

  第21 林産物利用 
1 目 標 

林産物の加工,利用に必要な知識と技術を習得させ,林産物の特性を理解させるとともに,林産物の多様な利用を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 森林資源の循環利用と林業・林産業 
ア 循環資源としての木材 
イ 木造建築物と循環 
ウ 林産業の現状と動向 
(2) 木材の性質と用途
ア 木材の構造 
イ 木材の性質 
ウ 木材の用途 
(3) 製材と木材の工作 
ア 製材 
イ 木材の乾燥 
ウ 木材の工作 
(4) 木材の加工と利用 
ア 改良木材の製造 
イ 木材パルプと和紙 
ウ 木炭 
エ バイオマスの変換技術と利用 
(5) 特用林産物の生産と加工 
ア きのこの生産と加工 
イ 山菜の加工 
ウ 薬用植物の生産と加工 
エ つるなどの加工 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,光合成産物である木材が循環利用可能な資源であり,人間の生活に欠かせない素材として重要な役割を果たしていることを理解させること。 
イ 内容の(2)から(4)までについては,実験・実習を通して,木材の構造と性質を理解させ,木材の多様な利用を図る実践力を育てること。 
ウ 内容の(3)から(5)までについては,地域林業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な林産物を選定すること。また,加工,製造機械類の操作及び各種薬剤などによる事故の防止など安全の指導の充実に努めること。 
エ 内容の(4)のイからエまで及び内容の(5)のアからエまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)のウについては,木造建築業,木材加工業及び林産製造業を扱うこと。 
イ 内容の(4)については,木材の材質の改良,木材の物理的処理と化学的処理及びバイオマスエネルギーの利用について基礎的な内容を扱うこと。 

  第22 農業土木設計 
1 目 標 

農業土木事業の計画と設計に必要な知識と技術を習得させ,事業計画の重要性と土木構造物の特質を理解させるとともに,自然環境との調和に配慮した事業を計画し,構造物を設計する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 農業土木計画と設計の意義 
ア 農業土木計画の意義と役割 
イ 環境保全と農業土木計画 
ウ 農業土木構造物の種類と特質 
エ 農業土木構造物の計画・設計・製図 
(2) 設計と力学 
ア 力と釣合い 
イ 平面図形の性質 
ウ 材料の性質と強さ
(3) 構造及び部材の計算と設計 
ア 静定ばりの計算と設計 
イ 不静定ばりの基礎 
ウ 柱 
エ トラス 
オ ラーメン 
(4) 鉄筋コンクリート構造と鋼構造の設計 
ア 鉄筋コンクリート構造 
イ 鋼構造 
(5) 農業土木構造物の設計 
ア 基礎工 
イ 擁壁 
ウ 水利構造物 
エ 道路 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(5)については,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業土木構造物を選定すること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,地域計画と農業土木事業を関連付けて扱うこと。 
イ 内容の(2)については,力の合成と分解,断面二次モーメントなどの断面の性質及び構造材料の強さと特性を扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,はり,柱とトラスに作用する外力と応力及びその計算方法を扱うこと。また,ラーメン構造については概要を扱うこと。 
エ 内容の(4)については,鉄筋コンクリート構造と鋼構造の性質,許容応力度法及び限界状態設計法について基礎的な内容を扱うこと。 

  第23 農業土木施工 
1 目 標 

農業土木事業における施工と管理に必要な知識と技術を習得させ,農業土木工事の特質を理解させるとともに,各種の工事を自然環境や安全に配慮し,合理的に施工・管理する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 農業土木事業の役割 
ア 農業土木工事の意義と特質 
イ 自然環境と農業土木工事 
(2) 施工計画の基本 
ア 施工計画の立案 
イ 仮設計画 
ウ 仕様と積算 
(3) 工事の管理 
ア 工事の運営組織 
イ 工程管理 
ウ 品質管理 
エ 安全管理 
(4) 農業土木関係法規 
(5) 農業土木工事の施工 
ア 土工
イ コンクリート工 
ウ 基礎工 
エ 道路工 
オ 植栽工 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)及び(5)については,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業土木工事を選定すること。 
イ 内容の(5)については,土木構造物の見学,調査や実習を通して,農業土木工事の特質を理解させ,工事の改善を図る実践力を育てること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,農地の整備と保全,かんがい,排水などの各種農業土木工事の概要を自然環境と関連付けて扱うこと。 

  第24 水循環 
1 目 標 

水を有効かつ継続的に利用するための知識と技術を習得させ,地球上の水循環と環境や生物とのかかわり,人間活動が水循環の中で営まれることを理解させるとともに,環境保全に配慮し,農業の持続的な発展に活用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 水と地球環境 
ア 水と大気 
イ 水文循環 
ウ 水と森林・河川・農地 
エ 水と生態系 
(2) 水と人間 
ア 水と人間の歴史 
イ 資源としての水 
(3) 水と農林業 
ア 水と農地の土壌 
イ 水と農業生物の栽培 
ウ 水と森林の土壌 
(4) 水と土の基本的性質 
ア 水の基本的性質 
イ 土の基本的性質 
ウ 土中の水 
(5) 農業水利 
ア 利水と治水 
イ かんがいと排水 
ウ 水利施設 
(6) 水と生活環境 
ア 水の有効利用と水質保全 
イ 農業用水の多面的機能 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)及び(2)については,地域環境の観察,地球的な視点や歴史的な視点に立った資料などを用いた学習を通して,水と環境及び人間の相互関係並びに水循環について関心をもたせること。
イ 内容の(3)については,水の動きに伴う肥料や農薬の動きと環境とのかかわり,農地・森林の水資源の涵養機能及びこれにかかわる環境保全への寄与についても扱うこと。 
ウ 内容の(4)から(6)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)のイについては,地球的規模に立った新しい考え方も取り入れて扱うこと。 
イ 内容の(5)のウについては,用排水機場や水門など主な水利施設の基礎的な内容を扱うこと。なお,生態系や環境保全へ配慮した水利構造物も扱うこと。 

  第25 造園計画 
1 目 標 

造園の計画・設計に必要な知識と技術を習得させ,造園空間のもつ機能を理解させるとともに,目的や環境に応じた造園空間を創造する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 造園計画の意義と緑地環境の役割 
ア 生活と緑地環境 
イ 造園計画と造園空間 
(2) 環境と造園の様式 
ア 我が国の環境と造園様式 
イ 外国の環境と造園様式 
(3) 造園製図と造園デザインの基礎 
ア 造園製図の基礎 
イ 造園デザインの基礎 
(4) 庭園の計画・設計 
ア 住宅庭園 
イ 学校庭園 
ウ 屋上緑化 
(5) 公園,緑地の計画・設計 
ア 都市緑地 
イ 農村緑地 
ウ 自然公園 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)については,我が国と外国の造園様式を,それぞれの国や地域の自然環境,文化的環境及び社会的環境と関連付けて理解させること。 
イ 内容の(5)のアからウまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,造園の目的と計画及びそれに基づく造園空間の創造と利用の概要を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,我が国と外国の主な造園様式とその変遷並びにそれを取り巻く自然環境,文化的環境及び社会的環境を総合的に扱うこと。 
ウ 内容の(4)については,住宅庭園と学校庭園及び屋上緑化などの特殊基盤緑化の構成・機能・環境条件など庭園の計画・設計に必要な内容を扱うこと。 
エ 内容の(5)については,種類,機能,役割,環境条件など公園や緑地の計画・設計に関する基礎的な内容を扱うこと。また,バリアフリーやユニバーサルデザインに関する基礎的な内容も扱うこと。なお,イ及びウについては,設計を扱わないことができること。

  第26 造園技術 
1 目 標 

造園の施工と管理に必要な知識と技術を習得させ,造園の特質を理解させるとともに,合理的に施工し,維持管理する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 造園技術の特色と役割 
ア 造園技術の特色 
イ 造園施工と管理の役割 
(2) 造園植栽施工 
ア 植栽とデザイン 
イ 芝生,花壇などの造成 
(3) 造園土木施工 
ア 敷地の造成と土壌の改良 
イ コンクリート工 
ウ 給排水工 
エ 造園施設工 
(4) 植物及び工作物の管理 
ア 植物の管理 
イ 工作物の管理 
ウ 景観の管理 
(5) 合理的な施工管理 
ア 工程管理 
イ 品質管理 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)から(4)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,造園の施工と管理を行う上で適切な題材を選定すること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)から(4)までについては,病気,害虫,機械及び器具について基礎的な内容を扱うこと。 
イ 内容の(3)については,屋上緑化をはじめとする特殊基盤緑化についてもバリアフリーやユニバーサルデザインを考慮して扱うこと。 
ウ 内容の(3)から(5)までについては,関係する法規と関連付けて扱うこと。 
エ 内容の(4)については,造園樹木のせん定と整姿,工作物の補修などの維持管理及び造園の目的に沿った景観の維持管理を扱うこと。 

  第27 環境緑化材料 
1 目 標 

環境緑化のための植物の育成や造園空間の構成に使用する材料について必要な知識と技術を習得させ,環境緑化材料の特性を理解させるとともに,材料を適切に取り扱い,活用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 環境緑化材料の特色と役割 
ア 環境緑化材料の特色 
イ 環境緑化材料の役割 
(2) 植物材料 
ア 造園樹木 
イ 地被植物
ウ 花壇用草花 
(3) 岩石材料 
ア 岩石 
イ 自然石材 
ウ 加工石材 
(4) 各種材料 
ア 木材 
イ 竹材 
ウ 金属材料 
エ セメント 
オ コンクリート製品 
カ 窯製品 
キ 新しい環境緑化材料 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)から(4)については,観察や実習を通して,造園空間を構成するために必要な材料の特性とその取扱いを具体的に理解させること。 
イ 内容の(2)から(4)については,地域の造園施工の実態に応じて,題材として適切な緑化材料を選定すること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)については,植物材料の種類と特性及び育成を扱うこと。 
イ 内容の(3)については,岩石材料の種類と特性を扱うこと。 

  第28 測 量 
1 目 標 

測量に必要な知識と技術を習得させ,測定機器の特質と地理空間情報の処理と利用について理解させるとともに,環境保全や農林業に応用する能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 測量の役割 
ア 地理空間情報と測量の役割 
イ 座標系と基準点 
ウ 測定値の処理と表現 
(2) 位置や高さの測量 
ア 平板測量 
イ 角測量 
ウ トラバース測量 
エ 水準測量 
オ 衛星測位 
(3) 写真測量 
ア 写真測量の原理と実体視 
イ 写真情報の判読と処理 
ウ 写真測量の利用 
エ リモートセンシングの原理と種類 
オ リモートセンシングの利用 
(4) 地理空間情報 
ア 地理情報システムの原理と役割 
イ 地理情報システムの利用 
ウ 地理空間情報の利用
(5) 応用測量 
ア 地形測量 
イ 路線測量 
ウ 工事測量 
エ 河川測量 
オ 森林測量 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)及び(3)については,見学や実習を通して,測量の原理と測定機器の操作について理解させること。 
イ 内容の(4)については,実習を通して,地理情報システムの基本的な原理及びデータの種類と処理について理解させ,空間情報を利用できるようにすること。 
ウ 内容の(5)のアからオまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて選択して扱うことができること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(3)のアからウまでについては,写真測量の基本的な測定原理及び写真測量データの処理と利用を中心に扱うこと。オについては,環境保全や農林業などへの利用について扱うこと。 
イ 内容の(4)のウについては,国土空間データ基盤についても扱うこと。 
ウ 内容の(5)については,既存の地図情報の利用,各種事業の目的に応じた測量の選択,データの精度と表現方法など,基礎的な内容を扱うこと。 

  第29 生物活用 
1 目 標 

園芸作物や社会動物の活用に必要な知識と技術を習得させ,それらの生物の特性を活用した活動や療法の特質を理解させるとともに,生活の質の向上を図る能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 生物活用の意義と役割 
ア 園芸作物,社会動物と人間生活 
イ 生物活用と対人サービス 
(2) 園芸作物の栽培と活用 
ア 草花・野菜・ハーブの栽培と活用 
イ 園芸デザインとその活用 
(3) 社会動物の飼育と活用 
ア 社会動物の飼育としつけ 
イ 社会動物の活用 
(4) 生物を活用した療法 
ア 園芸療法 
イ 動物介在療法 
(5) 生物活用の実際 
ア 対象者の理解と交流の技法 
イ 交流活動 
ウ 療法的な活動 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 指導に当たっては,交流対象者の安全や健康などについて十分配慮するとともに,必要に応じて地域の専門機関や専門家との連携を図ること。 
イ 内容の(1)については,専門家が療法として行う行為と一般の人々がレクリエーションや教育,健康増進などを目的として行う活動の違いについて理解させること。 
ウ 内容の(2)及び(3)については,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。また,題材として適切な園芸作物や社会動物を選定すること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)については,教育や健康などに関する効果に着目した園芸作物の栽培や園芸デザインの活動を中心に扱い,それを活用した交流活動の準備や活動の支援も扱うこと。 
イ 内容の(3)については,教育や健康などに関する効果に着目した社会動物との交流とそのための飼育やしつけを中心に扱い,社会動物を活用した交流活動の準備や活動の支援も扱うこと。 
ウ 内容の(4)については,園芸療法,動物介在療法の基礎的な内容を扱うこと。 
エ 内容の(5)については,安全な活動を行うために必要な交流対象者の心身の特徴や生活状況の理解及び交流に必要な技術について扱うこと。 

  第30 グリーンライフ 
1 目 標 

農林業・農山村の特色を生かした生活体験を提供する活動に必要な知識と技術を習得させ,地域資源の有用性を理解させるとともに,地域に根ざした事業の振興に寄与できる能力と態度を育てる。 

2 内 容 

(1) 農山村社会の変化と地域社会の再編 
ア 農山村と都市の現状と変化 
イ 地域社会の変化と起業活動 
ウ 農山村活性化のための政策 
(2) グリーンライフの概要 
ア 人間生活とグリーンライフ 
イ 農林業・農山村の魅力 
ウ グリーン・ツーリズムの取組 
(3) 地域資源の発見・保全・活用 
ア 身近な地域の資源 
イ 農山村の資源 
(4) グリーンライフ活動の実践 
ア 地域コーディネータの役割 
イ 対人サービスのマナー 
ウ 環境インタープリターの技法 
エ グリーンライフプログラムの作成・企画 
オ 安全管理 
(5) グリーンライフ活動 
ア エコツアー 
イ 直売所・農家レストラン 
ウ 商品開発 
エ 産地直送・通信販売 
オ 市民農園・観光農園 

3 内容の取扱い 

(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(2)については,農林業・農山村の多面的機能や地域資源の有用性を発揮するために他産業・異業種と連携する取組の重要性について理解させるようにすること。 
イ 内容の(3)については,見学や実習を通して,地域資源の発見・保全・活用を図る実践力を育てること。
ウ 内容の(3)のア及びイ及び(5)のアからオまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。 
エ 内容の(5)については,グリーンライフ活動における食の安全や事故の防止など安全の指導の充実に努めること。 
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。 
ア 内容の(1)については,都市部におけるグリーンライフのニーズと関連付けて扱うこと。 
イ 内容の(4)については,グリーンライフ活動の実践に必要な基礎的な技術を扱うこと。 

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い 

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 

(1) 農業に関する各学科においては,「農業と環境」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。 
(2) 農業に関する各学科においては,原則として農業に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。また,実験・実習に当たっては,ホームプロジェクトを取り入れることもできること。 
(3) 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。 
2 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。 
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。